
ギリシャのロマ族の集落で4歳の白人の女の子が保護されたというニュースが流れました。
人身売買や誘拐などの可能性があるということで世界中にこの女の子の写真が流れて、5000件以上の情報が寄せられているそうです。
彼女はいま児童支援の慈善団体に保護されていますが、どうかこの女の子が一番幸せに育てる場所へと落ち着いて欲しいと願います。
スポンサーリンク
ロマ族はジプシー?
このニュースを見て「ロマ族って?」と思った方も多いのではないでしょうか。
日本にいるとあまり耳にしない言葉ですよね。
私もネットで調べてやっと「ジプシー」の別称ということがわかりました。
ジプシーという言葉なら日本でもよく知られています。
「流浪の民」という有名な歌でも知られていますし、小説や映画などのモチーフにもよく取り上げられますよね
日本ではマイナスのイメージをジプシーに持つ人はあまりいないのではないでしょうか。
私はなんとなくドラマティックでロマンチックでエキゾチックというイメージを持っていました。
しかし、ヨーロッパの方ではロマ族に対する差別や偏見は根強く、そして実際にロマ族によって起こされる事件も少なくはないようです。
そもそもロマ族=ジプシーとはなんなのでしょう。
スポンサーリンク
ロマ族の期限と歴史
ロマ族=ジプシーと書いてきましたが、実はこれは正しくはありません。
「ジプシー」はヨーロッパで生活する移動民族の総称です。あくまでもそう呼ばれているということで彼ら自身は自らをジプシーだとは名乗らないようですね。
ジプシーが見られる最古の記録は西暦1100年のものですが、1407年にドイツでジプシーのことを書かれた記録に、「エジプトからやってきた」とあり、そこからジプシー(gypsy)という言葉が生まれたようです。
ジプシーは単独民族のように思われてました。生活スタイルなどは共通する部分が多いようですが、実際には人種やアイデンティティも別々のたくさんのグループがあります。
そのグループの中で最大勢力なのが「ロマ族」です。
ロマ族は北インドのロマニ系の民族がヨーロッパに広がっていったと考えられています。
1402年の「エジプトから来た」といったジプシーとは起源が違うのかもしれませんね。
日本では「ジプシー」という言葉が差別用語として扱われているようで、「ロマ族」という表現で統一されているようです。
ジプシーと呼ばれる集団の中でロマ族以外では、アッシュカリイやエジプシャンというグループもあります。
彼らのアイデンティティはロマ族とは別個のものです。
スポンサーリンク
ロマ族の習俗や宗教、言葉は?
ロマ族はロマ語という独特の言語を持っています。ただし、住んでる場所やグループによって独自に発達した部分が多く、同じロマ語でもグループによっては通じないことが多いようですね。
ロマ語の特徴としては、抽象的なボキャブラリーが少ないそうです。
現代では定住しているロマ族も多く、住んでいる場所の言葉も話せる人がほとんどだとか。
学校に行っている子供もいますが行っていない子供もいます。
ロマ族も中でもお金持ちの人、貧しい人、貧富の差はあるようです。
宗教はもともとはヒンズー教だったらしいですが、やはり行く土地土地での宗教の影響も受けており、キリスト教やイスラム教に改宗している人も多く見られます。
タロットカードなどに見られる独特の神秘主義的な風習はありますが、それは宗教とは別に考えられているようですね。
迫害の歴史
ヨーロッパでは現代でもロマ族に対しての偏見と差別は根強いようです。
今回の誘拐事件(?)のように犯罪を起こすロマ族も決して少なくありません。
定住しているとはいえ周りに溶け込まず、独自の暮らし方と考え方を通し、税金も納めない・・・となれば周囲との軋轢が出るのは仕方のないことかもしれません。
ただ、近世の歴史ではヨーロッパ各国でロマ族への過酷な迫害もありました。
ナチスドイツによる迫害は有名ですが、日本では案外知られていないスイスのロマ族排斥行為は1972年まで行われていたのです。
ロマ族の子供を親から無理やり引き離し、施設にいれたり養子に出したりすることをスイス政府公認の組織ぐるみによって行われていました。
ロマ族の血をひいている有名人
ロマ族の血をひいている世界的な有名人はたくさんいますが、代表的なのは何といっても喜劇俳優のチャールズ・チャップリンでしょう。
チャップリンの母方の祖母がロマ族とのハーフなのです。チャップリンはクォーターロマ?
それから日本人にも超有名な小説家、小泉八雲もロマ出身だと自伝で言われています。母方がキプロスのロマ、父方がイギリスのロマ、ハーン一族だったと言われています。
私は子供の頃からジプシーというエキゾチックさに惹かれて、そのイメージに憧れていましたが、しっかりと調べたことはありませんでした。でも、今回の事件で、ロマ族はジプシーのグループの一つだということや、歴史的、そして現代も抱える問題点など、色々と調べる結果になりました。
世の中に知らないことは多いものですね。